視覚的なフィルターを描くニューリアリズム

大谷尚哉の作品「分ける」はシンプルな構成の中に様々な情報が見えてくる静物画である。
クリアな白い空間の中にキューブが置いてあり、キューブには複雑な色の昆虫が見える。作家が重視している、モチーフを観察した上で表現をしていくという行為はこの作品でも実行されていて、下描きから着彩まで専用の箱の中に設置されたモチーフの前で制作している。
色が分散するフィルムで加工した透明なキューブを置き、その奥に昆虫を二匹糸で吊るしてある。
「分ける」というタイトルは空間に対して視覚的なフィルターを与えて「分ける」という意味でつけられている。それはキューブの表面のフィルムによって微妙に変化する色のフィルターと二匹の昆虫がキューブを通してそれぞれ表と裏が見えるようになり合わせて４つの情報が見えてくるフィルターである。必要な情報以外は画面に入れないようにするため、余白は広く何もない空間のみとなる。

1990 山形県生まれ
2014 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
展示歴
2015 個展「グロッソスティグマ」ギャラリーノア（東京）
2016 「大細密展2016」アートコンプレックスセンター（東京）
2017 「New Year Selection 2017」ギャラリーアートポイント（東京）
2017 「大細密2016受賞者展」アートコンプレックスセンター（東京）
2017 個展「大谷尚哉展」ギャラリーアートポイント.bis（東京）
2018 「第16回 NAU 21世紀美術連立展」国立新美術館（東京）
2018 個展「大谷尚哉絵画展」はくえん堂（東京）
2018 個展「RECTANGULAR BOX」ギャラリーアートポイント.bis（東京）
2018 「Life 2018」ギャラリーアートポイント（東京）
受賞歴等
2016 「大細密展2016」優秀賞
2018 「第16回 NAU 21世紀美術連立展」推薦