Art Point Picks
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[ ダリの夢:360° ]
お気に入りの絵画の世界に飛び込めたのなら。この映像作品はそんな願いを叶えてくれる。
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これはジャン=フランソワ・ミレーの『晩鐘』をサルバドール・ダリが独自に解釈して描いた『ダリの夢』を元に、VR映像化したもの。ダリ美術館で2016年に開催された展覧会「ディズニーとダリ:想像の建築」によって発表された。YouTube上には手持ちのデバイスを動かして、360度視点を変えながら鑑賞できるものが公開されている。
何処までも広がるダリの柔らかな世界に、皆様も迷い込んでみてはいかがだろうか。 -
[ KIZUNA ]
本映像は、イタリア人現代アーティストのヴァレリオ・ベッルーティのアニメーションと、坂本龍一によるオリジナル曲とのコラボレーション作品。
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坂本龍一、平野友康が発起人のアーティストによる東日本大震災被災地支援プロジェクト「kizunaworld.org」の一環であり、アーティスト作品を寄付と引換に贈呈していくことで、より多くの寄付金を募ることを目的としたプロジェクト。その第一弾が本映像作品。ヴァレリオ・ベッルーティが日本で制作し、印象的な赤と黒は、漆器などにみられる日本古来の伝統文化を象徴した色彩であり、日本文化へのリスペクトからこれらの色を強調した。約300枚ものドローイングで構成される。
ヴァレリオ・ベッルーティは、1977年 ピエモンテ州アルバ生まれ。ヴェルドゥーノにある17世紀に建てられた教会をアトリエ兼自宅とし、1995年からそこでアーティストとして活動している。2009年にヴェネチアビエンナーレに出品した。イタリア伝統のフレスコ画、彫刻やレリーフといった立体作品も手がけるなど、作品は多岐にわたる。その作品の多くは子どもがモティーフとなっている。彼の表現する子どもたちは、もの思いにふけるようなどこか遠くを見つめる眼差しや仕草は、慌ただしい現代社会で忘れかけた何かを我々に静かに訴えかけてくるようだ。 -
[ Ever is Over All ]
ピピロッティ・リストはビデオインスタレーション作品を手掛けるスイス出身の女性アーティスト。多くのコンセプチュアルアーティストたちとは異なった、色鮮やかで幸福感漂う作風を特徴とし、高い評価を受けている。この映像作品は、1997年のベネツィア・ビエンナーレでプレミオ2000賞を受賞し、ニューヨーク近代美術館が購入したもの。
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大きなスクリーンを二分し、2つの映像が流れる。左半分では、若い女性が、花の形の大きなハンマーで路上に止められている車の窓ガラスを次々に割りながら、スローモーションで歩いていく。途中、後ろから来た警察官が彼女にあいさつし、女性は彼が通り過ぎてからも窓ガラスを割りながら歩いていく。右半分には、花の咲き乱れる野原の映像が映し出されている。女性は終始笑顔であり、美しい花々の映像やポップな色彩と相まって、画面全体から幸福感が立ちのぼってくるかのようだ。
難しいことは考えずに、彼女の生み出す映像の美しさを堪能してほしい。 -
[ Christian Marclay on Night Music ]
2011年ヴェネチアビエンナーレで金獅子賞を受賞した、現代ヴィジュアルアートを代表するマークレーの初期演奏風景。1980年代よりターンテーブルを即興演奏に使用し、それまで唯の再生道具であったターンテーブルを楽器として用いたパイオニアの一人である。マークレーの活動はHIPHOP/DJシーンだけではなく、音自体への興味やシステムへの懐疑といったアプローチから、サウンドアートの中に位置付けられる。60年代のミニマルおよびフルクサスやパンクムーブメントの影響を受けたと公言するマークレーのサウンドでは、作品と場所(=フロア)の関係性自体が作品の価値を決めるファクターとなる。アート界全体にカット・コピー、コラージュの概念を持ち込み、現在のアートシーンの複雑なイメージソースを形作る重要な作家の一人となった。
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[ Odilon Redon ]
オディロン・ルドンはフランス象徴主義を代表する画家であり、幻想性と夢想性にあふれた独特な絵画を数多く残した。初期には木炭やリトグラフによる黒の表現を追求し、『笑う蜘蛛』や『眼=気球』などに代表されるグロテスクでありながらどこかユーモラスな作品を手がけるも、早世した長男に次いで次男を授かった1890年ごろからは、突如パステルや油彩による美しく豊潤な色彩表現へと移行した。
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初期の細かく描きこまれた白黒世界から一転し、晩年にはおおらかな描写の個性的な色彩世界を構築したルドン。人間の顔をした奇怪な植物や生き物を描いたリトグラフだけでなく、画面の中で咲き乱れる色鮮やかなパステルの花々や、微妙な色彩で描かれた神秘的な作品『目を閉じて』など、彼の多様な世界観を垣間見られる作品を堪能してほしい。 -
[ さわひらき: dwelling ]
1977年石川県生まれ。ロンドン在住。
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イーストロンドン大学美術学科にて彫刻を学び、ロンドン大学付属スレード美術学校美術学科修士課程を修了する。コンピューターのCG編集ソフトを使い、SF的でユーモラスな映像作品を制作する。
本映像『Dwelling』では、何気ない自室のアパートの一室のなかでミニチュアの大型旅客機が一機、また一機と床やベッドを滑走・離陸、次第に室内は飛び交う旅客機で埋め尽くされていく。さわは、詩的な虚構を巧妙にちりばめ、日常の中に見える、ごく私的な、存在はしているがどこか曖昧な現実を形にしようとしている。この幻覚的情景は適度な弛緩とポップ感を伴い、ビデオ・アートの新たな可能性を示唆する。
主な展覧会は、リヨンビエンナーレ(2003年)、「Have We Met? 見知らぬ君へ」(2005年、国際交流基金フォーラム、東京)、横浜ビエンナーレ(2005年)、『アーティスト・ファイル2008』展(国立新美術館)など。 -
[ capicua ]
2001年、若手クリエイター発掘のためにスペインで始まったインターネット上でのショートフィルム映画祭、Jameson Notodofilmfestの2010年受賞作品。
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作者のRoger Villarroyaは1985年バルセロナ生まれ、New York Film Academy卒業、現在はバルセロナ在住で映像制作を続けている。機知の効いた表現で社会に問いかける作品が多く、本映像も、最後に驚きと共にじんわりと納得させられる作品だ。タイトルの「capicua」とは、スペイン語で、例えば232、1567651のように、始めと終わり同じになるように繰り返す数字、文字のこと。(日本でいう、トマト、たけやぶやけた、、等の言葉遊びのような。) 老人ホームでの映像が、その職員の女性のナレーションとともに進んでいく。日常の生活、様子が流れていき、最後にその本当の意味が明らかになる。映像とナレーション、構成による独特の説得力を持つ作品。 -
[ たま 電車かもしれない ]
近藤聡乃は、1980年千葉県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2010年現在ニューヨーク在住の若手アーティスト。
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主に少女と虫をテーマにした、奇妙で幻想的な作品を中心としている。2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞した。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。
本映像は、知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で 2002年NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得した彼女の初アニメーション作品。主人公はどこか昭和の香のする少女。大人になりきれない幻想の中で軽やかに遊んでいるようなイメージで、「ぼくらは生まれつき体のないこどもたち〜」と歌うたまのシュールな詩に妙に合っている。