Art Point Picks
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[ 現代アートの舞台裏 ]
億単位の資金が一つの作品で動きまわるアートの世界。華やかさとインテリさが共存する世界は外部にいる私たちから見ると一枚ベールをかぶっているようにはっきりと中を見る事ができない、そんな印象を与えます。本当はどうやって動いているの?アートシーンに出現するアーティストはどうやってそこに到達するの?作品の売却や購入のシステムは?美術館ってどうやって機能しているの?作者自ら5カ国6都市を回ってアーティストやディーラー、キュレーター、美術学校の学生など250人ものアート関係者をインタビュー。その記録がまとめられた一冊です。現代アートシーンの舞台裏で何が起こっているのか、のぞき見てみませんか。
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[ 原寸美術館-画家の手もとに迫る ]
ベラスケスのマルガリータ王女のドレスは、印象派のような荒いタッチで描かれている。ダヴィンチの最後の晩餐には、無数の剥落がある。発見をしながら、名画が楽しめる。ルネサンスのボッティチェリ『春(プリマヴェーラ)』、レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』から現代のワイエス『クリスティーナの世界』までの西洋名画32作品の見どころを、原寸大で掲載。本当の絵画の姿を気付かせてくれる。私たちが今まで画集で見ていた絵画、記憶にとどめていた絵画は単なるイメージである。本物の存在感、力を見せつけられる。読者が抱く、画家が描いたそのままの大きさを体験したい、画家がどんな色をどんな筆遣いでカンヴァスにおいているか知りたい、という要望を満たしてくれる全く新しい画集。グラフィックデザイナーである結城氏の柔らかな語り口の解説も鑑賞も楽しい。
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[ 見た、訊いた、買った古美術 ]
現代アートのギャラリスト小山氏が各ジャンルの専門ギャラリーや骨董店等を訪れ、あれこれと訊きながら身銭を切って買い物をするという、芸術新潮に連載していたコーナーを再編したもの。小山節というか、「へいへい、怪しい者じゃございません」的な好奇心全開という姿勢で、今回は古美術の世界に素人代表で丸腰で切り込んでいってくれた。古美術の世界に興味を持っても、身銭を切って実際に購入して生活に取り入れたり、ギャラリーに足を運んで目を肥やそうとしたりする人は少ない。小山氏の古美術を見る目は現代アートを見る目線と少しも変わらない。そして、巻頭の写真の何枚かは古美術と現代住居がとても調和した小山氏の美しい自宅で、その後の著作の楽しさを予感させる。ギャラリーオーナーとの小気味いいやりとりに、読者は魅了され、古美術にも興味を抱くことになるだろう。
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[ 奇想の系譜 ]
美術史の成り立ちは絵画作品のみで出来上がるのではない。
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ルネサンス期には「美術史家列伝」といった書籍により多くの画家が評価された。そして今、この日本でも狩野派、琳派以外の画家たちの評価を行った書籍がこの1冊。意表を突く構図、強烈な色、グロテスクなフォルムー近世絵画史において長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら表現主義的傾向の画家たち。これらの画家たちの評価が著者により行われる。本書により「奇想の画家たち」は“異端”ではなく“主流”の中での前衛であると定義され、再評価・発掘されるきっかけとなった。多くの図版から、大胆で斬新、度肝を抜かれる奇想画家の世界を覗いてみてほしい。 -
[ 山口 裕美 観光アート ]
このタイトルを見て、アートに「観光」の意義を持たせることに抵抗を感じる人がいるかも知れない。アートは崇高なものであり、決して世俗なぞと交わらないと考えるかも知れない。しかしアートは人を動かし、金を動かす、ある意味資本主義社会の商品でもある。
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著者は特別この点には触れてはいないが、「美術鑑賞を目的とした旅」が近年増えている現状を踏まえて「アートを活用した観光」を紹介している。(「観光アート」という言葉はこの意味から生まれた筆者の造語である。)すなわち、都市に人口が集中する一方で、地方では過疎化が進んでいる昨今、まちおこしの一つの切り口としてアートが観光に一役買っていることを紹介しているのだ。その上で「アート×観光」がどのように関わっているのか、を過去に筆者の携わったプロジェクト経験にも触れながら、観光による地域活性化と現代アートを読者に伝える。加えて、本書の半分は全国の博物館・美術館の基本情報を掲載しており、美術初心者でも楽しく読む事ができるようにもなっている。このように、当著書は美術館における鑑賞の手引きとしてもってこいの一冊である。 -
[ カリコリせんとや生まれけむ ]
現代アート界の異端児、会田誠の初のエッセイ集。会田氏の作品はテーマも作風も実に様々で、同一人物が描いたとは思えないものも多い。戦争をテーマに古典的な描き方をしたかと思えば、大量の美少女やマンガチックな表現あり、子どもの落書きのようなものもあり。会田誠とは、知識人なのか少年なのか、天才なのか変態なのか。
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この本を読むと、まず彼の文才と、作品に込められた皮肉、それを裏付ける彼の豊富な知識に驚かされる。また、彼の生い立ちや家族とのエピソードを通して、アーティストではない一人間としての会田誠をもうかがい知ることができる。しかし結局のところ、様々な面の全てが会田誠であり、その奥深さが会田誠の魅力なのかもしれない。 -
[ 印象派はこうして世界を征服した ]
「印象派」。
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この言葉がタイトル入っていれば日本の展覧会には必ずと言っていいほど行列ができてしまう。これは日本だけでの話ではなく、世界中で印象派はずば抜けた人気を保ち続けている。美術館は競うように作品を収集し、作品を個人所有していればそれ自体がもう社会的ステータスになる。誕生したばかりの頃は「絵画とは認められない」とまで酷評された作品たちの需要がたった百数十年でなぜここまで変化したのだろう。十九世紀の誕生当時のヨーロッパとアメリカ各国での受容のされ方、社会的政治的な駆け引き、そしてオークション会社の印象派絵画をめぐる奮闘の記録。印象派の受容の記録を皮肉とユーモアを交えて語る。 -
[ ルイス・カーン-光と空間 ]
20世紀を代表するアメリカ人建築家、ルイス・カーンの建築にとって最大のテーマであった「光」に対する考え方と採光の方法が、カリフォルニア州ラ・ホヤのソーク生物学研究所、テキサス州フォートワースのキンベル美術館などのカーンの代表作が、筆者のスケッチとドローイングによって解説されている。
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「建築というものは存在しない。建築という精神のみが存在するのだ。」
本書のなかで、カーンは語っている。「構造は光を与え、光は空間をつくりだす」という言葉を残し、自然光の扱い方について現代建築に大きな影響を与えたカーンの仕事の道筋を、多くの作品を紹介するとともに丹念に跡づけ、分析する。 あくまでも、崇拝すべきは光や風、人間などの自然であり、建築の役割はそれを最良に作用させるための手助けである。本書によって、カーンの建築の真理が見える。