Art Point Picks
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[ ビヤホール ライオン ]
銀座「ビヤホール ライオン」は1934年に現サッポロライオンの本社として菅原栄蔵設計のもと「天下一の建物に。後世まで残る日本を代表するビヤホールに」という想いのもとで建設され、2022年には国の登録有形文化財に指定された。その1階の日本最古のビヤホールは今もなお創建当時の雰囲気がそのまま残されている現役の日本最古のビアホールである。 特に入口から入ってすぐに視界に入る巨大モザイク画は圧巻で、他の大小モザイク画と合わせて近づいても遠くから見ても細かな構成の美しさと細やかさに圧倒される。 また、モザイク画だけでなくブドウやビールの泡をイメージした照明、大麦のイメージを持つ柱の装飾や赤煉瓦の壁も、設計者の想いを受け継ぎ現在もほぼそのままの姿で残されている。 「豊穣と収穫」のコンセプトによる創建当時の雰囲気を残したままの教会のような空間でいただくビールの味は、きっと格別なものであるに違いない。
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[ Bar十誡 ]
銀座駅から徒歩2分。「好事家の書斎」をコンセプトとしているカフェ・バー。文藝を主とする藝術作品をオマージュしたカクテルを提供している。過去の月替わりのカクテルには、ゴッホやオーブリー・ビアズリー、ボッティチェリの『春』を模した絵画カクテルも存在した。
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重厚感のある扉を開くとそこには秘密の地下図書館が広がっており、純文学を中心とした文藝書、画集や写真集、アンダーグラウンドなテイストの本がぎっしり詰まった、壁一面に広がる本棚はまさに圧巻。骸骨が連なってできた柱や壁にかけられた作品は目を惹き、訪れた人を見つめ返しているように感じる。
文豪カクテルや「銀座ヴァニラ画廊」での展示に絡んだ作家とのコラボカクテルは細部までこだわって作品が再現されているため、とても芸術性が高く、視覚的にもとても楽しめる一杯となっている。静かに原作を読みながら、また作品の良さについて語らいながら、時を忘れて藝術に浸ることのできる場所。 -
[ ザ・ペニンシュラ東京 ]
2007年にオープンして以来、日々世界中から多くのゲストを迎えている。宿泊だけでなく、ランチやディナーでグルメを楽しみに足を運ぶ人も多い。しかし楽しめるのは、グルメだけではない。
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館内の至るところに、アート作品が展示されており、その中の9割は日本人アーティストによるものだ。
建物の全体設計は、建築家・佐藤和清氏によるもので、外観は「燈籠」がモチーフとなっている。
正面玄関の奥に置かれた、ザ・ロビーのシンボルである竹のアートは、現代いけばな作家、濱 恵泉氏によるものだ。館内はインテリアデザイナー・橋本夕紀夫氏が手がけており、伝統的な千本格子を使った和のデザインとなっている。さらに、ロビー中央には、京都西陣織の職人、斉藤上太郎氏が手がけた織物を使用されたソファーが置かれている。多くのアート作品に囲まれて過ごすことができ、ペニンシュラ・スタンダードと日本の伝統的な職人芸・自然・文化の融合を堪能できる。 -
[ シェルマン ]
銀座3丁目にある蓄音機とSPレコード専門店。店内には普段目にすることのない蓄音機や100年以上前のものを含む貴重なレコードが所狭しと並べられ、美術館のコレクション展のような雰囲気だ。
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蓄音機で聴く音は、あたかもその場で演奏しているような、目の前で歌っているような音の拡がりがあり、現在のデジタル音楽プレーヤーとは全く異なるものの、決して古臭さを感じさせない。便利さを求めて進化する一方でないがしろにしてしまった音の豊かさを改めて教えてくれるのが蓄音機だと熱く語るご主人が印象的だ。人間の芯に真っ直ぐに向かってくる音は心地良く、音楽の世界も美術の世界も良いものは人間の心に訴えてくるものがあると思わずにはいられない。毎月最終土曜日にはコンサートが開かれ、蓄音機での豊かな音に浸ることが出来る。(要予約) -
[ Guardeian Garden ]
ガーディアン・ガーデンは、若手表現者を応援する「ひとつぼ展」や「1_WALL」という若手の登竜門と言われる公募展を開催、各界で活躍するクリエイターを産んでいる事で知られるギャラリー。リクルートビル正門脇の階段を下りると、赤くてキャッチーなこのギャラリーのロゴが見える。それほど広すぎない細長いスペースは、若手クリエイターに表現する「機会」と「場所」を提供しようと1990年にオープン、グラフィック・写真を中心としたコンペティションギャラリーとして活動展開している。ポートフォリオ・展示作品・プレゼンテーションの要素により作家が作品と何度も向き合う公募を開催することで長期的視点に立った、新人の発掘育成を行ってきた。ギャラリー内には過去の入選者の作品ファイルが並び、約330名分のファイルを閲覧できるようになっている。
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情報誌・インターネット・モバイルなど多彩なメディアを通じビジネスを展開するリクルートにおいて必要不可欠となっているビジュアル表現をテーマに、公募を通してこれからの時代をリードする若いクリエイターを応援する場となっている。 -
[ 東京會舘 ]
東京會舘は、日比谷通りに面した皇居外苑向かい側にある。高級感のあるロビーにおずおずと入って行くと正面に大きな壁画が見えてくる。白地に赤を基調とした幾何学的な図柄が二面にわたって描かれている。抽象的だけど堅くはなくてどこか安心感をくれる。《都市・窓》というタイトルからすれば四角い枠は窓だろうか、そうすれば窓がたくさんある場所が都市ということだろうか。この絵の作者は “いのくまさん”。彼を知らなくても三越の包装紙を思い出してほしい。白地に赤い斑点のデザインは彼によるものだ。
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“いのくまさん”の愛称で親しまれている猪熊弦一郎はイラストレーターとしても戦後に活躍した画家だ。NYで抽象表現主義の画家らと交流があったことでも知られ、香川県には美術館がある。
年月がたっても少しも色褪せてないのはアクリル樹脂のピースからなるモザイク技法でつくられているからだ。発色がきれいな上に手入れに手間がかからないそうだ。こうした材料の工夫が絵の魅力をいつまでも保っている。 -
[ 電通旧本社 ]
人間の耳をモチーフとした数々の彫刻作品を手掛ける三木富雄の貴重な作品が電通テック株式会社のロビーにて飾られている。作者は「私が耳を選んだのではなく、耳が私を選んだ。」と述べてしまうほど耳ばかりを作り続けた。ロビーに飾られている作品は、赤と青の少し蛍光色の色使いでロビーでひときわインパクトが強く誰の目にもすぐ止まる。耳の作品を多数製作してきたからには、耳のでディテールにこだわっているのが特に伝わる。リアルな作品だけでなく三木富雄のデザイン的な遊びも兼ね備えているので、目で見て楽しむ要素がたくさんあり、ロビーが彼の作品で華やかさを増している。
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[ 帝国ホテル ]
1890年に開業された帝国ホテル東京は、国の文化を代表するナショナルホテルとして長い歴史を持つ。
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外観についても代々威厳と品を兼ね揃え、建築物としての歴史もあるが、特に2代目本館は「近代建築の三大巨匠」と呼ばれるアメリカの建築家、フランク・ロイド・ライトの手によって建てられたことから「ライト館」と呼ばれ親しまれた。今もそのライト館が、初代本館とともに模型となってメインロビーの入り口傍に並び、精巧な作りのそれらを眺めるのは面白い。
また、メインロビーからエレベーターフロアへ向かうとそこには幾何学図形で構成されたレリーフ作品が設置されている。ライト館のロビーの一角にあった壁のデザインに手を加え制作したもので、大谷石の持つ明るくて渋い表情やライトデザインの特徴である直線の重なりが、この空間にぴったりの面持ちで上品に存在していた。