原 憲太郎KENTARO HARA

2020.7.27.Mon - 8.1.Sat
12:30-19:30*
*8.1.Sat until 17:00

原 憲太郎は自らの作品をコラージュではなくブリコラージュ(仏:寄せ集めで作る)と言う。
細く線だけで描かれた鳥や魚、野菜などのドローイングの上に、一目では判別できない抽象的でオールオーヴァーな半透明の写真が重ねられている。 さらに目を引くのは、そこに重なり合うルートヴィッヒ・ヴィトゲンシュタインの『論理哲学論考』から引用された文章である。
コラージュされたイメージ(ドローイングと写真)と文字列は、観る者の視線を作品平面上で横滑りさせて、どこにも焦点を合わさせようとせず、視点をはぐらかす。 また、それぞれのイメージと文章の相互関係に関連性や脈絡がありそうもなく、さらにそれが読解の邪魔をする。
困惑させるイメージのコラージュである。なぜこのような作品が作られたのか。
作品を作るうえで「作品は作家の個性が反映される必要はなく、できることなら作家から遠く離れたものであり、引用の織物であってよい」とも原は言う。 引用の多用は、ダダ的ニヒリズム「美術においては、もはや新しいものはなにもなく、引用でしか語ることはできない」に由来する姿勢ともいえるが、 それだけではない。原の作品とその解説に多く引用されるのは、スーザン・ソンタグ、宮川淳、マイケル・フリードなどであり、文学との親和性が高く、 20世紀の芸術とのつながりを強く意識していることがうかがえる。
「個性の反映されない作品」が可能であるのか、可能であるならそこにどのような未来があるのか。
それは実験であり、答えではなく、問いを生む藝術といえよう。

Kentaro Hara says his work is not a collage, but a bricolage (French: made by collecting).
An abstract, all-over translucent photo that cannot be discerned at a glance is overlaid on a drawing of birds, fish, vegetables, etc. drawn with only thin lines.
Even more striking is the text cited from Ludwig Wittgenstein’s ” Theory of Logical Philosophy “, which overlaps there.
The collaged images (drawings and photographs) and texts slide the viewer’s line of sight on the plane of the work, trying to focus on anything else, and blurring the viewpoint.
Moreover, there is no relation or context between the images and sentences, which further impedes reading comprehension.
A collage of confusing images. Why was such a work made?
When making a work, he says, “The work does not have to reflect the personality of the artist, and if possible, it is far from the artist and may be a woven fabric of quote.”
It can be said that the heavy use of quotations derives from the Dadaistic nihilism “There are no new things in art, and we can only speak with quotations.”
That is not all. Many of the original works and their explanations are cited by Susan Sontag, Atsushi Miyagawa, Michael Fried, etc., which have a high affinity with literature, It can be seen that he is strongly aware of the connection with the art of the 20th century.
Is it possible to create “a work that does not reflect individuality”, and if so, what kind of future is there?
It’s an experiment, not an answer, but an art of questioning.


略歴

原 憲太郎

【プロフィール】

1979年  長崎生まれ
2005年  大阪教育大学大学院修士課程芸術文化専攻修了
     
個展
2004年 「原憲太郎展」海岸通ギャラリーCASO(大阪)
2007年 「fragments」海岸通ギャラリーCASO(大阪)
2008年 「ウミガラス、何も言わずに」アートスペース虹(京都)
2012年 「植物の自死に関する一考察」神戸アートビレッジセンター(神戸)
2013年 「エクリプス67日間」新宿眼科画廊(東京)
2014年 「tender」キチジョウジギャラリー(東京)
2015年 「swing-by」SAKuRA Gallery(東京)
2017年 「原憲太郎展」GALLERY ART POINT(東京)
2017年 「still」ZULA Art Gallery(東京)
2019年 「透明な酔いと両義的な眼差し」 Gallery NIW(東京)
2020年 「パサージュⅡ」ギャラリーKINGYO(東京)

グループ展
2014年 「千代田芸術祭2014 3331アンデパンダン」Arts Chiyoda 3331(東京)
2016年 二人展「seam-less」ギャラリーKINGYO(東京)
2017年 「YAHAGI’s SENSE展」T-Art Gallery(東京)
2018年 「時は春」ギャラリーKINGYO(東京)ほか多数


「イメージ(図像)が感情から解放され自由になったときに、どのようなかたちになるのか」

それぞれに反するものや無関係なものを重ね合わせ、多義的な視点も持たせることで、
イメージにまとわりつく感情や意味を中和することができないかと試みている。

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