Art Point Picks
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[ 龍光不動尊 ]
銀座の松屋に神社がある、そう聞くと不思議に思うかもしれない。だが実際に、巨大な百貨店の屋上に、小さな不動尊がひっそりとたたずんでいるのである。
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この不動明王像は鎌倉時代の名匠の作とされていて、1929(昭和4)年屋上に安置され、それ以来松屋を鎮護しつづけている。災いを幸いに転じ、願望成就、家内安全、商売繁盛、さらに「龍光」が「流行」に通じるということから、ファッション関係のご利益もあるという。また松屋の1階入り口には、四天王の梵字が金色で施されている。これには、お客の安全を守るという意味が込められていて、東西南北の四隅と不動尊の真下にあたる場所にそれぞれ設置されている。流行の最先端をいく銀座のデパートと神社という組み合わせは、一見すると意外ではあるが逆にそれが新鮮でもある。普段通いなれた場所であっても、思わぬところに新たな発見があり、驚きを与えてくれるのだ。なお、実は銀座には一丁目から八丁目までそれぞれに神社があり、それらをすべてまわる「銀座八丁神社めぐり」という散歩コースも存在する。 -
[ 松屋銀座デザインギャラリー ]
松屋銀座の7階にあるデザインコレクションコーナーが四半世紀ぶりに改装された。深澤直人、原研哉など、今の日本のデザイン界を牽引するデザイナー達のコミッティ「日本デザインコミッティ」の活動拠点である。
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そこにはメンバーによって選定された世界中の優れたデザイングッズが整然と並べられている。道具に「今」を吹き込んだ様々なモノたちを、見て、手に取り、使う想像をし、その生活を想像してみる。それだけでも楽しい。
そしてそこに隣接するデザイン専門のギャラリーとして1964年に開設されて以来、今日まで国内外のさまざまなジャンルのデザインを紹介。これまでの会期は670回を越え、世界的に最も歴史があるデザインギャラリーといえる。すべて同コミッティメンバーが企画運営し、デザインを通じて、モノのあり方やルーツ、またその先にあるものを考えさせる場となっている。 -
[ 三井ガーデンホテル銀座 ]
三井ガーデンホテル銀座プレミアは、当ギャラリーの二つ裏の昭和通り沿いにある。イタリア出身のグラフィックデザイナーで幅広い活躍をしているピエロ・リッソーニ(Piero LISSONI)が空間のプロデュースを務めており、ホテル入り口正面と奥に飾られる油彩の大型の作品もリッソーニの厳選によるもの。黒い木目の壁に展示されている現代アート作品は、線や四角を使ったり、淡い色のベースに違う色が重なり浮き出ているような、抽象的かつシンプル、そしてヒップな印象のもので統一されている。しかしその中には、よく見ると、実は全てコラージュだったり、絵画の端の一部分だけ写真が貼られていたり、白いフレームを作品の一部にしたものもあり、意外性に富んでいて面白い。
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[ 閑々堂 ]
絵画・美術専門の古書を扱う店。少し入りずらい店構えだったので、ドアを開けて声をかけると、今は通販を主に営業しているというが、店内へと通してくれた。現在は事務所としても使っているというその場には店舗として使っていたそのままの所もあり、本がひしめいていて圧巻だった。
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国内の作家の作品集、展覧会のカタログから美術書籍、国外作品集まで、古典美術から現代美術までひと通りそろっているように見え、奥には箱が山積みで、巻物や版画作品まで置いてあった。
「うちはどんな本でもそろえますよ。」と言い放った店主の言葉にも説得力を感じる。見たい本がたくさんあり、また思いきってドアを開けようと思う。 -
[ 資生堂ギャラリー ]
資生堂ビル地下1階に位置する資生堂ギャラリー。地下に続く階段を下りると、そこには地上とは全く違った空間が広がっている。抑えた照明で落ち着いた雰囲気を出しながらも、このギャラリーの特徴でもある高い天井によって地下空間にありがちな閉塞感が全く感じられない。展示スペースも非常に広く、まるで美術館のような印象を受ける。その広い空間は、一度に多数の絵画を展示したり、壁を利用した大きな立体作品を展示したりと、展覧会によって違った顔をみせ、いつ訪れても違った印象を与えてくれる。美術館と画廊が合わさったかのような特別な雰囲気を、ぜひ一度味わってみてほしい。
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[ LIXILギャラリー ]
2011年「LIXIL:GINZA」に名称を変更したINAXショールーム。白と赤を基調にした2.5センチ角のモザイクタイル50万ピースで有機的な空間を埋め尽くした1階ロビーから2階へ上がると3つのギャラリーがある。
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1981年銀座で活動を開始したINAXギャラリーは、「建築とデザインとその周辺」をテーマに年4本の企画展を開催しているギャラリー1と、幅広い現代美術作家の個展を行っているギャラリー2、そして「新鋭作家による新しいやきものの表現の場」というコンセプトのもと企画しているガレリアセラミカの3本を軸に展開している。
INAXギャラリー2では1982年の開設以来、絵画、彫刻、映像表現に留まらず、広く内外の現代美術作家の個展を行ってきた。その歴史からは日本の現代美術の流れを見ることができるだろう。過去の展示作家は、福岡道雄、河口龍夫、日比野克彦、日野田崇、Aeneas Wilder、伊庭靖子、名和晃平、田中みぎわなど。近年は、北城貴子、湯浅克俊、西澤諭志など若手作家の充実した展覧会が多い。 -
[ 銀座メゾンエルメス ]
晴海通りに面する場所に、ガラスのブロックが集まって異空間をつくる。建築家レンゾ・ピアノが設計した細長い建築物で、フランスのファッションブランド、エルメスといえば知らない人はいないだろう。10階建てのこのビルは、ブティックはもちろん、カフェ、ギャラリー、シアターなどと充実しているが、その外側にも魅力を発見した。ウィンドウディスプレイを眺めながら店の外観を辿っていき脇道に入ると、ガラスを通して見える歪んだ店内や品のあるディスプレイが目に楽しい。楽しく足を進めると、ふっと影になり、ときたまキラキラと光の反射する小さな空間が現れる。コの字型になった部分があるのだが、そこで上を見上げると、大きく空に伸びるオブジェがあった。彫刻家の新宮晋によって作られたこのステンレスの「風で動く彫刻」は、中心に浮く柱に対し、三角形がリズミカルに連なる。風を受けやすい構造をしていて、少しの風でも軽やかに、くるくると回転し、光があちこちに飛び回る。ビルの造りと合わさって色々な表情を見せてくれる作品で、下の方のほの暗い心地よさや、上部になるほど光を増して空に溶けていく爽やかさを感じ、いつまでも眺めていたい気持ちにさせてくれる場所だ。
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[ Ginza Graphic Gallery ]
ggg(スリージー)と呼ばれるグラフィック専門のギャラリー。ガラス張りの入口にgggの可愛らしいロゴが見える。展示室は1階と地下1階。清潔感のある綺麗な室内で壁いっぱいのグラフィック作品に囲まれる。グラフィックデザインの分野で活躍する多くの作家の作品を観る事ができ、ggg独自に出版する作家別の作品集といった書籍も購入することができる。大日本印刷株式会社が作ったギャラリーというのがやはり面白いところだろう。駅や街中で目にする広告やポスター、またWebなどを手がけるアーティストの作品を改めて芸術作品として鑑賞することができる。私たちの生活とアートは深く結びついているんだということを実感できる空間である。普段見慣れた電車の中、バスの中、雑誌の1ページの中のグラフィックもアートとして鑑賞してみると面白いかもしれない。
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